小田急小田原線と京王井の頭線が乗り入れる下北沢は、新宿にも渋谷にも乗り換えなしで出られる便利な街です。古着屋やライブハウス、小さな劇場がぎっしり詰まった路地の街、というイメージの方も多いと思います。ところが今の下北沢は、私の記憶とはまるで別の街になっていました!新しい施設と昔ながらの路地が隣り合う街を、ぐるっと歩いてきました。歩くほどに「下北らしさ」が見つかる、そんな一日をお届けします!

ここは本当に下北沢?再開発で一変した駅前

下北沢では2013年に小田急線が地下にもぐり、地上を走っていた線路が丸ごと無くなりました。その跡地はおよそ1.7キロ。今は「下北線路街」と呼ばれ、新しい施設が次々とできています。私は以前よく来ていた街なのですが、再開発が終わってから訪れるのは初めてでした。

下北沢駅東口

そして改札を出た瞬間、ここがどこだか分からないぐらい変わっていて驚きました!出てきた東口は、2018年にできた新しい改札です。昔の北口と南口は、どちらももうありません。駅前広場も整備の途中で、将来はバスやタクシーが乗り入れるロータリーになる予定だそうですよ。

下北沢で一番古い「下北沢一番街」

駅から歩いてすぐの場所にあるのが、下北沢一番街です。老舗のお煎餅屋さんにカフェ、カレー屋さん、もちろん古着屋さんも並びます。下北沢は古着屋が100店舗以上あると言われる街で、とても一日では回りきれません。店先までハンガーラックが出ているので、外から眺めて歩くだけでも結構楽しい通りです。

下北沢一番街

実はこの一番街、下北沢で一番古い商店街なんです。戦前は八百屋さんや魚屋さんが並ぶ、生活のための商店街でした。若者の街になったのは戦後のこと。新宿や渋谷より家賃が安く、沿線の大学に通う学生が住みついたのが始まりです。道幅もあって、のんびり歩ける通りでした。

個性豊かなショップが集まる白い路地空間「reload」

reload

一番街を抜けると、線路跡地に誕生した商業施設「reload(リロード)」が見えてきます。2021年にオープンした下北線路街の拠点のひとつで、洗練された真っ白な建物が印象的なスポットです。

施設内は「店主の顔が見える個店街」をコンセプトに、20店舗以上の個性あふれるショップが並んでいます。入り組んだ路地裏のような通路やベンチが配置され、下北沢らしいストリート感を残した構造に感心させられます。

エントランス付近には京都発祥の「小川珈琲」が手掛ける体験型のカフェなどもあり、2階の開放的なテラス席も居心地抜群です。ふらりと立ち寄って散策するだけでも気分が上がります!

演劇の街の原点!歴史を刻む小劇場「ザ・スズナリ」

ザ・スズナリ

reloadから道なりに進んだ先にあるのが、下北沢演劇カルチャーの原点である「ザ・スズナリ」です。1階が飲食店、2階がアパートだった建物の2階部分を改装して造られた劇場で、映画のワンシーンのような独特の佇まいを放っています。

元映画俳優の本多一夫さんが養成所の稽古場として使い始め、1981年の卒業公演をきっかけに劇場としてスタートしました。翌年には本多劇場が誕生し、現在では下北沢エリアに8つの劇場を展開する「本多劇場グループ」へと広がっていきます。下北沢のカルチャーを語る上で欠かせない、特別な熱気を感じるスポットです。

60年の歴史を誇る老舗町中華「珉亭」と演劇の殿堂「本多劇場」

珉亭

スズナリの近くには、1964年創業の老舗町中華「珉亭(みんてい)」があります。若き日の俳優・松重豊さんとミュージシャン・甲本ヒロトさんがかつて一緒にアルバイトをしていたことでも有名なお店です。名物の赤いチャーハンとラーメンがセットになった「ラーチャン」は下北沢を代表する味として知られています。残念ながらこの日はご飯類の提供が追いついておらず、ラーチャンは食べられず…。また別の機会に伺うことにします。

本多劇場

そこから歩いてすぐの場所にあるのが、1982年11月に開場した「本多劇場」です。実験劇場として誕生したスズナリに対し、こちらは最初から演劇専用として設計されました。客席数は386席を誇り、本多劇場グループの中で最大の規模と充実した舞台設備を備えています。

高架下に広がるアジアン屋台街のような新空間「ミカン下北」

ミカン下北

本多劇場のすぐ隣に位置するのが、2022年にオープンした「ミカン下北」です。京王井の頭線の高架下スペースをフル活用した施設で、名称のミカンは「未完成」から。名称通り、常に変化し続ける下北沢の魅力を体現しています。

ミカン下北の飲食店街

入口の「TSUTAYA BOOKSTORE」には時間制のシェアラウンジが併設されており、作業スペースとしても便利です。書店を抜けると通路沿いに韓国やタイなどのアジア料理店がずらりと並び、まるで海外の夜市のような異国情緒が漂います。そのまま歩いて通り抜けると、あっという間に下北沢駅前へと戻れるアクセスの良さも魅力です!

賑わいが途切れないメインストリート「下北南口商店街」

下北南口商店街

駅前に戻り、下北沢を代表する繁華街「下北南口商店街」を歩きます。駅の再開発に伴って南口改札自体はなくなりましたが、商店街の名前として今も親しまれています。

通りには飲食店や居酒屋、古着屋、喫茶店などがぎっしりと密集し、昼夜を問わず多くの人で賑わっています。名物「みそパン」で知られた老舗パン屋「アンゼリカ」の閉店など新旧の入れ替わりを感じつつも、活気にあふれる下北沢のエネルギーを存分に体感できるメインストリートです。

スパイス香る名店!「茄子おやじ」の絶品スペシャルカレー

茄子おやじ

南口商店街を抜けて路地に入り、1990年創業の老舗カレー店「茄子おやじ」へ向かいました。下北沢が「カレーの街」と呼ばれるようになる以前から地元で愛され続けている超人気店です。

スペシャルカレー

今回は具材が贅沢に全部乗った「スペシャル」(1800円)に「ランチセット」(400円)を注文しました。じっくり煮込まれたカレーは程よい酸味が心地よく、柔らかく仕上がった茄子との相性が抜群です!一口ごとに深みを感じる個性的な味わいで、並んででも食べる価値のある大満足の一皿でした。

徳川家ゆかりの古刹とお灸の歴史が眠る「八幡山 森巖寺」

美味しいカレーでお腹を満たした後は、少し足を延ばして静かな住宅街へ向かいます。途中で見つけた「森巖寺(しんがんじ)」は、緑豊かな木々に囲まれた静寂な佇まいのお寺です。

森巖寺

森巖寺は1608年に開創され、徳川家康の次男・結城秀康の位牌所として建てられました。江戸時代には初代住職が夢のお告げで授かったという「お灸の秘法」で広く親しまれ、毎月3と8の付く日にお灸が施されていた歴史があります。境内にある淡島堂ではお賽銭がPayPay決済に対応しており、歴史ある古刹と現代の便利さが融合した光景に驚かされました!

500年の歴史と猫への愛が詰まった「北澤八幡神社」

北澤八幡神社

森巖寺のすぐ隣に位置するのが、下北沢の街の氏神さまである「北澤八幡神社」です。15世紀後半に世田谷城の鬼門を守るために創建され、500年以上にわたりこの街を見守り続けています。

北澤八幡神社の猫看板

境内に入ると、可愛らしい猫の置物や看板、撮影用パネルなどがたくさん出迎えてくれます。猫にゆかりがある理由は、かつて境内で猫を飼っていたことと、近隣に住んでいた詩人・萩原朔太郎の小説『猫町』の舞台にちなんでいるためです。御朱印やお守りにも愛らしい猫の意匠があしらわれており、散策の途中でほっこりと癒やされるスポットです。

限定ドリンクでひと休み!「スターバックス 代沢5丁目店」

スターバックス 代沢5丁目店

神社から茶沢通りへと戻る途中、木板張りのシックな外観が目を引く「スターバックス 代沢5丁目店」に立ち寄りました。こちらは通常店舗とは一線を画す、地域密着型の上位コンセプト店舗です。

コールド ブリュー ソーダ グリーンアップル アンド ライム

メニューも特別仕様になっており、定番のフラペチーノではなく限定のビバレッジが中心に提供されています。今回は贅沢な限定ドリンク「コールド ブリュー ソーダ グリーンアップル アンド ライム」(990円)を注文しました。底に沈んだジューシーな果肉と爽やかなライムの酸味が効いていて、歩き疲れた体に染み渡る最高の美味しさです!

豊かな余白と個性が広がる小さな街「BONUS TRACK」

BONUS TRACK

カフェを出て坂道を上り、線路跡地の世田谷代田駅寄りにある「BONUS TRACK(ボーナストラック)」へ向かいました。2020年にオープンしたこの施設は、「余白のある空間」をコンセプトに誕生した下北線路街の象徴的なエリアです。

BONUS TRACKの屋外テラス

広場を囲むように長屋風の個性的なショップが立ち並び、まるでひとつの小さな街のような温かいコミュニティが形成されています。屋外には自由に座れるベンチやテーブルがたくさん用意されており、心地よい風を感じながら過ごせます。下北沢らしい自由でカルチャー感あふれる空気感を満喫できるおすすめスポットです。

まとめ:進化しながら個性を残す下北沢の魅力を体感しよう!

BONUS TRACKから駅へと続く遊歩道を歩き、下北沢駅へと戻ってきました。駅の2階には「シモキタエキウエ」という商業エリアも誕生し、かつての入り組んだ駅の面影がないほど洗練された空間へと変貌を遂げています。

地下化に伴う大規模な再開発によって新しい施設が次々と誕生しながらも、演劇や古着、個性的なグルメといった下北沢ならではの文化はしっかりと息づいていました。新宿や渋谷からもアクセス抜群な下北沢へ、新旧の魅力が詰まった路地歩きをぜひ楽しんでみてください!

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