静岡県の沼津へ、ふらりと日帰り旅行に出かけてきました。海鮮のイメージが強い沼津ですが、いざ歩いてみると、昭和レトロな巨大アーケードから、日本初の画期的な橋、そして度肝を抜かれる大ボリュームの絶品グルメまで、思いがけない出会いが次々と待っていました!潮風を感じながら、歴史と現代が入り交じる不思議な魅力に満ちた沼津の街を、じっくりと歩いて回ります。

「Suicaで出られない!?」沼津さんぽの幕開け

東海道線に揺られ、熱海駅でひとつ乗り換えて沼津駅に到着です。ところが、いきなり改札でつまずきました。乗ってきたSuicaでは、自動改札をそのまま出られないんです。

理由は、鉄道会社のエリアの境目にあります。沼津駅はJR東海のエリアでTOICA、神奈川や東京はJR東日本のエリアでSuica。その境目が熱海駅で、またいで使うと自動改札は通れないんですね。駅員さんの所に専用の機械が用意されていたので事なきを得ましたが、沼津に来るときは覚えておくと安心です!

沼津駅

そしてもうひとつ驚いたのが、改札を出て振り返った瞬間です。壁一面がアニメでした。沼津はアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台で、「私たちのふるさと、沼津。」の文字が掲げられています。

沼津機関区の碑

駅前では、昔この街にあった機関車の一大基地をしのぶ「沼津機関区の碑」も発見。明治のはじめ、東海道線が箱根の山を越えていた頃の拠点だったそうです。

昭和と令和が同居する「沼津仲見世商店街」

沼津仲見世商店街

駅前大通りから一本隣の道へ入ると、大きなアーケードが見えてきます。これが「仲見世パルナード」。南北250メートルにわたって屋根が全部つながった全蓋アーケードで、ここを軸に「沼津仲見世商店街」が広がっています。始まりは戦後の青空市場で、最初のアーケードができたのが1961年。今も静岡県東部で一番大きな商店街と言われています。

車が入ってこないので、道の真ん中を堂々と歩けるのが気持ちいい!電気屋さんに手芸屋さん、300年以上続く宝永年間創業のお茶屋さんまで並んでいて、まさに「ザ・商店街」です。石畳も綺麗で、上品な昭和の空気が漂います。

その一方で、看板からはラブライブの旗がずらり。近くには静岡県で初めてという吉本の常設劇場もあり、意外な発見が続きます。

なぜ沼津に?全国初の「キン肉マンミュージアム」

キン肉マンミュージアム in 沼津

商店街を歩いていると現れるのが、2024年にできた「キン肉マンミュージアム」。なんと全国で初めての、キン肉マンの常設ミュージアムです。

でも、どうして沼津なのでしょう?答えは富士山にありました。作中の「夢の超人タッグ編」で描かれたトーナメント・マウンテン、その舞台が富士山の麓。沼津はその富士山につながる街ということで、この地に決まったそうです。ロゴにもちゃんと富士山が入っています。

1階の物販フロアは誰でも入れて、2階の展示が有料(大人1000円)。じっくり見て回りましたが、その価値はしっかりありました。今も連載が続いていて100巻近くあると知り、それにもびっくりです!

世界初の橋を渡る!狩野川と「あゆみ橋」

中央公園(沼津城本丸跡)

商店街を抜けた先にある中央公園は、実は沼津城の本丸跡です。あいにく工事中で石碑にも会えませんでしたが、そもそも沼津城は遺構がほとんど残っていない珍しいお城なんだとか。来年の春には、広場やカフェを備えた公園に生まれ変わるそうです。

あゆみ橋

さて、この日いちばん感動したのが、公園の先にある「あゆみ橋」です。狩野川に架かり、対岸の香貫公園とをつなぐ、歩行者と自転車だけのための橋。橋の上に余計なものが何もなく、見えるのは川と空だけで、開放感が抜群でした。

あゆみ橋の吊りケーブル

この見晴らしは、実はわざとなんです。桁を細くして、照明も欄干の低い所に埋め込み、とにかく視界を邪魔しないように作られています。しかもこの橋、斜めに吊るケーブルと下側を支えるケーブルを組み合わせた構造は世界初なのだそう。1999年に完成した、沼津が誇る一本です。映画やドラマのロケ地としても人気だと聞いて、深く納得しました。

かのがわ風のテラス

橋のたもとには、階段状に続く「かのがわ風のテラス」もあります。堤防でありながら、オープンカフェやイベントでにぎわう憩いの場です。沼津は一年を通して駿河湾から風が吹く街で、その風を感じられるようにと「風のテラス」と名付けられました。少し潮の香りがしたのは、どうやら気のせいではなかったようです。

街まるごと防火壁!歴史が詰まる「アーケード名店街」

アーケード名店街

沼津には、アーケードの商店街がいくつもあります。駅から徒歩10分ほどの「アーケード名店街」もそのひとつ。歩道の上に2階と3階がせり出した独特の形が、まず目を引きます。

沼津本通防火建築帯

この建物、1階がお店で2階と3階が住居なのですが、正体は「沼津本通防火建築帯」。街が燃え広がらないように、鉄筋コンクリートの建物を隙間なく並べ、建物そのものを防火壁にしてしまうという発想です。昭和29年にできたときは、防火建築のアーケード街として全国初でした。商店街がまるごと防火壁だなんて、驚きですよね。

70年以上が経ち、今は順番に解体して建て替える再開発が進んでいます。この景色が見られるのも、あと少しかもしれません。ここのバス停から、いよいよ沼津港へ向かいます。

いざ沼津港へ!海の幸をぶらぶら

沼津みなと新鮮館

バスに揺られること約10分で沼津港に到着。歩くと30分近くかかるので、バスが正解でした。降りてすぐ目の前にあるのが、船をイメージした外観の「沼津みなと新鮮館」です。干物に鮮魚、海鮮丼のお店と、どれもこれも美味しそう。海のものだけでなく、伊豆名産のわさびやうなぎパイなど、静岡の名産も集まっていました。

港八十三番地

隣には、大きな「沼津港」の提灯が目印の「港八十三番地」。飲食店やお土産屋さんに加えて、深海水族館まであります。駿河湾は日本で一番深い海で、いちばん深い所は水深2500メートル。だからこそ、深海魚が身近な存在なんですね。ひとつ注意したいのが、このあたりのお店は夕方には閉まってしまうこと。訪れるなら日中がおすすめです!

そびえ立つタワー!名物「海鮮かき揚げ丼」

御膳屋丸天

お昼のお目当ては、友人に「沼津に行くならここ」と勧められた「御膳屋丸天」。名物は、なんといっても海鮮かき揚げ丼です。運ばれてきた瞬間、思わず声が出ました。ご飯の上に、かき揚げがタワーのようにそびえ立っているんです!

御膳屋丸天の海鮮かき揚げ丼

食べ方は、横に倒してタレをかけ、崩しながらいただくスタイル。この「倒す」のが難関で、箸では歯が立たず、結局手を使いました。ひと口食べると、海老はぷりぷり、玉ねぎは甘くて、普通のかき揚げとはレベルが違うお味!実はこのかき揚げ、製法で特許を取っていて、先代の社長さんが手間ひまかけて完成させた形なんだそうです。

ボリュームは本当にえぐいほど。途中、お出汁をもらってお茶漬けにも出来ます。薬味のわさびがまた良い味変になりました。食べきれないときは、お持ち帰りもできるそうですよ。出汁をかける前なら、それもいいなと思いました。

沼津の街を守る巨大水門「びゅうお」

沼津港大型展望水門びゅうお

芝生と松林が広がる静かな港口公園を抜けると、漁港に着いた時から見えていた巨大な建造物にたどり着きます。「沼津港大型展望水門びゅうお」です。津波から沼津の街を守るため、2004年に作られました。

びゅうおからの眺望

とにかくスケールがすごい。津波を止める扉は幅40メートル、高さ9.3メートル、重さはなんと406トンで、日本最大級です。地震計とつながっていて、地震が起きると約5分で自動的に閉まるそうです。そして、せっかく高いのだからと地上30メートルに展望施設を設けたのが、この水門のユニークなところ。名前も、景色の「ビュー」と魚の「うお」をかけた一般公募で決まりました。

入場料は大人300円。上に登れば、沼津の街も駿河湾も、魚市場の様子まで360度ぐるっと見渡せます。意外だったのは、外国からの観光客がとても多かったこと。沼津も、すっかりインターナショナルな街になっているんですね。

金の鳥居と、締めくくりの老舗喫茶

城岡神社

漁港を離れて沼津駅近くまで戻ってきました。途中で「城岡神社」に立ち寄りました。目を引いたのは、金色に輝く鳥居です。

創建200年を記念して昨年塗り替えられたばかりだそうです。お稲荷さんの黄金色の稲穂にちなんでいるほか、フェンシング日本代表がここで勝守りを受けてパリオリンピックで金メダルを量産したことから、「金」にご縁があるということで、黒色の鳥居を金色にしたそうです。

沼津市立図書館

少し歩くと、「沼津市立図書館」もありました。蔵書数約49万冊を誇り静岡県東部最大です。視聴覚ブースや200人収容のホール、ランチルームまで備えた巨大施設で、歩き疲れた体を少し休ませてもらうのにぴったりの場所でした。

珈琲舎 フレィバァ

最後は、仲見世パルナードから脇に入ったビルの地下1階、喫茶店「珈琲舎 フレィバァ」へ。40年以上続く老舗で、お婆ちゃんのマスターが一人で切り盛りしています。頼んだのは期間限定のコーヒーフロート。目の前でドリップしてくれたコーヒーは、今まで飲んだ中でいちばんと言いたくなる美味しさでした。

コーヒーフロート

面白いのが、乗っているアイスがとても硬いこと。最初はすくえず戸惑いましたが、これがいいんです。氷のように少しずつ溶けるので、コーヒーを甘くしすぎず、最初の味のまま最後まで楽しめました。沼津に来たら、また絶対に寄りたいお店になりました。

まとめ:一日で何度も表情を変える街、沼津

こうして沼津をぐるっと回ってみて、一日でいくつもの表情に出会えました。沼津港ばかりが注目されがちですが、駅周辺も見どころがたっぷり。世界初の橋あり、全国初のミュージアムあり、日本最大級の水門ありと、意外性の連続でした。

東京方面からなら、新幹線で三島乗り換えでサッと来るか、東海道線でのんびり安く来るか、行き方も選べます。日帰りで十分遊べる距離なので、次のお休みにぜひ足をのばしてみてください。きっと、あなたのお気に入りの一杯や一皿が見つかるはずです!

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