箱根の定番「箱根ゴールデンコース」。実はこのコース、逆回りで巡ると驚くほど快適だという噂を耳にしました。本当なのか確かめるべく、今回はあえて定番とは逆のルートに挑戦することに。結果的にはこの逆回り、大正解だったかも知れません!

バスで一気に芦ノ湖へ!逆回りコースのスタート

箱根湯本駅前

箱根の玄関口である箱根湯本駅から、今回の散策はスタートします。今回は箱根の乗り物8種類が乗り放題になる「箱根フリーパス」を利用して移動します。

まずは駅の向かい側、2番乗り場から出るバスに乗り、一気に芦ノ湖畔の「箱根町港」を目指します。山の中を登っていく急カーブの連続で、立って乗ると握り棒にしがみついてなければならないほど。しかし、時折パッと視界が開けて吊り橋や湖が見えるなど、車窓からの景色は抜群です。

芦ノ湖

たどり着いた芦ノ湖は、今から約3000年前、神山という山が噴火して山体が崩れ、そのあとに水が溜まってできた湖です。快晴の空の下、水面がキラキラと輝いていて、山に囲まれた雄大な景色に思わず見とれてしまいました。

「入り鉄砲に出女」の歴史が残る箱根関所

箱根関所

芦ノ湖畔を少し歩くと見えてくるのが、江戸時代の関所「箱根関所」です。江戸を守るため、芦ノ湖と山に挟まれて街道が最も狭くなるこの場所に、1619年に置かれました。入口の茶屋で見つけた名物「湯の華まんじゅう」(1個100円)を、さっそく食べ歩きです。

湯の華まんじゅう

この関所で特に厳しく取り締まられたのが、江戸に入る鉄砲と、江戸から出ていく女性でした。「入り鉄砲に出女」と呼ばれるこの言葉の通り、人質として江戸に住まわされていた大名の妻子が逃げ出さないよう、女性の通行は徹底的に調べられたそうです。手形の記載と照らし合わせるため、結った髪までほどいて確認していたというから驚きます。石段の先にある遠見番所からは、関所全体と芦ノ湖を見渡せました。

遠見番所からの眺望

隣接する箱根関所資料館では、案内役のマスコット「おたまちゃん」のエピソードも紹介されています。奉公先から逃げ帰ろうと関所破りを試みて失敗し、処刑されたという実話がモデルなのだそうで、思わず切ない気持ちになりました。

箱根関所資料館

明治の離宮跡「恩賜箱根公園」で涼む

恩賜箱根公園の湖畔展望館

箱根関所から歩いてすぐ、芦ノ湖に突き出した塔ヶ島にあるのが恩賜箱根公園です。ここはかつて、皇族の避暑や外国からの賓客を迎えるための別邸「箱根離宮」があった場所でした。関東大震災とその後の北伊豆地震で建物のほとんどが失われ、戦後の1946年から公園として開放されています。

湖畔展望館の眺望

中央広場の正面に建つ湖畔展望館は、離宮の面影を再現した白い石張りの洋館です。2階のバルコニーからは、芦ノ湖とそれを囲む外輪山を一望でき、ここに離宮が建てられた理由がよくわかる眺めでした。

箱根神社と平和の鳥居

元箱根港へ続く東海道

元箱根へ向かう道沿いには、江戸時代初期に植えられた杉が400本以上残る国史跡「旧東海道の杉並木」があるはずが……、実は歩いていた道の一本隣にあったようで、気づかないまま通り過ぎてしまいました。まあ、それでも緑豊かな道のりで、これはこれで気持ちよく歩けたしいいかなと思います。

箱根神社の巨大な鳥居

しばらく歩くと、箱根神社の巨大な鳥居が見えてきます。遠くからでもよく目立つ大きさで、すぐ隣には海賊船を待つ人が列を作る元箱根港がありました。

箱根神社

杉に囲まれた石段を登った先にある箱根神社は、757年に万巻上人が創建したと伝わる古社です。以来、源頼朝をはじめ多くの武家の信仰を集めてきました。隣にある九頭龍神社は、かつて芦ノ湖に棲み人々を苦しめていたという九頭龍を、万巻上人が守護神として祀ったのが始まりだそうです。

九頭龍神社

神社がある石段を降りていって真っ直ぐ、その先にあるのは「平和の鳥居」です。1952年のサンフランシスコ講和条約締結を記念して建てられたもので、湖を背にした撮影スポットとして大人気。この日一番の行列ができていました。

平和の鳥居

特別船室で行く、海賊船クルーズ

箱根海賊船のデッキからの眺望

元箱根港からは、海賊船に乗って芦ノ湖を縦断し、桃源台港へ向かいます。船の運賃は箱根フリーパスに含まれていますが、今回は「特別船室」(通常800円、フリーパス利用で700円)を奮発してみました。一般より先に乗船できるうえに専用エリアがあり、記念のリボンももらえます。

まずはデッキに出てみると、風が心地よく、湖と山を望む景色は最高でした。陸から見上げていた平和の鳥居を、今度は湖上から見下ろす形になり、不思議な感覚を味わえました。

箱根海賊船の特別船室

暑さに耐えかねて船内に戻ると、特別船室はまさかのがらがら。座席は5分の1も埋まっておらず、冷房も効いていて快適そのものでした。桃源台までの乗船時間は約30分。700円払う価値は十分にあったと思います。

白煙立ち上る「大涌谷」で名物グルメ

箱根ロープウェイ

ロープウェイが大涌谷に近づくにつれ、車内にも硫黄の匂いが漂ってきました。到着した大涌谷は標高1044メートル、朝に芦ノ湖のほとりで話題にのぼった、約3000年前の噴火で山が崩れた跡地です。3000年経った今も白い煙が立ち上り続けているんですね。

大涌谷

大涌谷といえば、温泉の成分で殻が黒くなる名物「黒たまご」。1個食べると寿命が7年延びるという言い伝えがあります。高台に祀られた延命地蔵尊にまつわるもので、地獄のような風景に心を痛めた弘法大師が祈願して、地蔵を作らせたのが始まりと伝わっています。

大涌谷延命地蔵尊

小腹が空いたので立ち寄った「谷のマルシェ」で、「タニマルマフィン」(600円)をいただきました。大涌谷の噴煙をイメージしたというドライアイスの演出つきで、味も見た目もしっかり満足できる一品でした。

タニマルマフィン

早雲山からケーブルカーで、箱根強羅公園へ

cu-mo箱根

早雲山駅へ到着しました。改札のすぐ横にある「cu-mo箱根」という展望スポットに寄り道。標高757メートルのテラスからは、幾重にも重なる箱根の山並みを眺められました。足湯もありましたが、こちらは満員で入れず。ケーブルカーへの乗り換えの待ち時間を過ごすにはちょうどいい場所ですね。

公園上駅

ケーブルカーに乗って公園上駅へ。駅からすぐの場所にあるのが箱根強羅公園です。開園は1914年。実はケーブルカーより先に作られた公園で、終点の強羅をどんな街にするか、その中心として計画されたそうです。

箱根強羅公園

左右対称に整えられたフランス式庭園には、大きな木にアーチが架かる一角があり、公園いちばんの見どころでした。もうひとつの見どころが温室です。熱帯の植物が並び、中には滝の流れる水路まである規模の大きさで、それだけで一つの施設として成立しそうなほど見ごたえがありました。

登山電車で箱根湯本へ。逆回りで見えたもの

強羅駅

強羅公園を東側に抜けると、強羅駅まではあっという間ですが、思った以上の急坂に驚かされました。本来のゴールデンコースならここを逆に登ってくることになるので、体力的にはかなり楽をさせてもらったと思います。強羅駅からは箱根登山鉄道に乗り、箱根湯本へ戻ります。車内はがらがらで最後までゆったり過ごせました。

こうして箱根ゴールデンコースを逆回りで巡ってみると、乗り物の待ち時間がほとんどないのが大きなメリットだと感じました。混雑するのはやはり飲食店ぐらいで、そこだけは順回りでも逆回りでも変わらないようです。定番ルートに一度行ったことがある方は、ぜひ逆回りでの箱根散策も試してみてください。いつもと違う箱根に、きっと出会えるはずです。

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