京急線で横浜駅からわずか約20分。神奈川県横浜市にある金沢八景駅周辺は、歴史と海がギュッと詰まった魅力的な街でした!江戸時代の浮世絵師・歌川広重が描いた景勝地として知られるだけでなく、源頼朝や北条政子ゆかりの歴史ある神社が点在しています。歴史に海にグルメにと盛りだくさんの金沢八景を、駅から野島公園までぐるっと一日かけて歩いてきました!

京急 金沢八景駅

海に浮かぶ小さな神社——琵琶島神社

駅から歩いて3分ほど、最初に訪れたのは琵琶島神社です。平潟湾にぽっかりと浮かぶ小さな島に鎮座していて、まっすぐ海に向かって伸びる参道が印象的でした。北条政子が琵琶湖の竹生島弁財天(ちくぶしまべんざいてん)をこの地に迎え、祀るために築いたと伝えられています。

琵琶島神社の鳥居

参道の入口右側には「福石」と呼ばれる石があります。源頼朝が瀬戸神社を参拝する前に平潟湾で身を清めた際、脱いだ服を掛けたのがこの石なんだとか。そんな伝承が残る石が今も現存しているというのは驚きです。

福石

ちなみにこのあたりはアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の聖地としても知られていて、聖地巡礼で訪れるファンもいるようです。

琵琶島神社

海に囲まれた小島の神社は独特の雰囲気があって、ベンチがあれば小一時間ぼーっとしていたくなるような場所でした。

源頼朝が建てた古社——瀬戸神社

琵琶島神社のすぐ向かい、道路を挟んだ正面にあるのが「瀬戸神社」です。かつてこの場所には潮の満ち引きのたびに渦を巻くような急流の海峡があり、古代から海の神を祀っていた神聖な場所でした。そこに源頼朝が伊豆の三島明神を勧請して社殿を建てたのが始まりです。

瀬戸神社

境内は緑に囲まれ、とても落ち着いた空気が流れています。源実朝が使い、北条政子が奉納したとされる国の重要文化財の舞楽面が所蔵されているなど、鎌倉幕府の偉人たちの息遣いを感じられるスポットです。琵琶島神社とセットで参拝するのが定番のルートになっています。

瀬戸神社の玉縄桜

訪れたのは3月でしたが、早咲きの玉縄桜が綺麗に咲いていました。

かつての海峡と憲法誕生の地——瀬戸橋・明治憲法草創の碑

瀬戸神社を出て少し歩くと、とても短い「瀬戸橋」が見えてきます。現在は埋め立てによって短い橋になっていますが、かつては鎌倉幕府が臨時の税金を取ってまで橋を架けたほど、潮流の激しい重要な海峡だったそうです。

瀬戸橋

さらに進むと、「明治憲法草創の碑」がひっそりと佇む広場に到着します。ここは明治20年に伊藤博文を中心とした4人が、料亭「東屋」に集まって明治憲法の草案づくりを進めていた場所です。ある晩泥棒に入られて草案の入った鞄が盗まれかけ、作業場を夏島の別荘に移したという、驚きのエピソードも残されています。

明治憲法草創の碑

津波から移り住んだ神社——洲崎神社

石碑から数分歩くと洲崎神社に到着です。元々は「長浜」という別の土地にあった神社ですが、1311年に大津波で村ごと壊滅してしまい、生き残った住民が鎮守の神様と一緒にこの地へ移り住んだのが始まりとのこと。

洲崎神社

江戸時代に作られた一対の「金獅子」が秘蔵されていて、はやり病の子供がこの獅子に頭を噛んでもらうと早く良くなるという言い伝えがあるそうです。

「華の寺」龍華寺

洲崎神社のすぐ隣にあるのが龍華寺(りゅうげじ)です。源頼朝が瀬戸神社の別当寺として建てたお寺が前身で、800年以上の歴史があります。地元では「華の寺」と呼ばれていて、春には約200株の牡丹が咲くそうです。

龍華寺

3月の訪問では牡丹はまだ見られませんでしたが、境内はとても綺麗に整えられていて、立派な仏像や梵鐘は一見の価値がありました。特に鎌倉時代後期の作と推定されている梵鐘は、神奈川県の重要文化財に指定されています。

神奈川唯一のドムドムハンバーガーへ!

龍華寺から横道を入った先にある金沢図書館にも立ち寄る予定だったのですが……まさかの休館日。気を取り直して、駅近くのイオン金沢八景店へ向かいました。お目当てはフードコートに入っている「ドムドムハンバーガー」です。

イオン金沢八景ショッピングセンター

最盛期には全国に約400店舗あったドムドムですが、2026年3月時点でなんと全国27店舗まで減少。関東には約11店舗、神奈川県ではこの金沢八景の1店舗のみという、すっかり希少な存在になってしまいました。

メニューがとにかくチャレンジング。春菊かき揚げバーガー、わんぱくメンチカツバーガー、手作り厚焼たまごバーガー、ごぼうスティックと、攻めたラインナップが並んでいます。店舗によっては丸ごとトマトバーガーや丸ごとカニバーガーなんていう猛者メニューもあるんだとか。

ドムドムハンバーガーのビッグドムセット

今回は定番の味を確かめたくて「ビッグドム」のセットを注文しました。お値段は1030円。セットのドリンクにエナジードリンクの「ZONe」が選べるという攻めっぷりもドムドムらしいところです。

ビッグドム

薄めのパティが2枚入っていて、見た目からはそこまでお肉感がなさそうに見えますが、食べてみると予想以上に美味しい! パーキングエリアにあるハンバーガーの方向性を、とびきり美味しく仕上げたような味わいです。ソースの香ばしさ、ケチャップとピクルスのバランスも絶妙。ポテトはマクドナルドに似た細いタイプですが、あちらよりもお芋の味がしっかりしていて、これまた美味しい。価格帯的にはバーガーキングやモスバーガーあたりがライバルになりそうですが、それも納得のクオリティでした。すっかりファンになったので、もっと店舗が増えてほしいです。

駅直結の歴史スポット——金沢八景権現山公園

金沢八景権現山公園

お腹を満たしたら、駅のすぐそばにある「金沢八景権現山公園」へ。2022年にオープンした比較的新しい公園で、かつて徳川家康を祀る東照宮があり、その別当寺だった円通寺の跡地を整備した場所です。園内には茅葺屋根の「旧円通寺客殿」が残されていて、江戸時代の面影を今に伝えています。
この茅葺屋根、実は京急のホームからも見えるんです。電車に乗っていて「あれ何だろう?」と気になっていた方もいるかもしれません。その正体がここでした。

金沢八景権現山公園の展望エリア

徳川家康が生前、ここからの眺めが好きで何度も訪れていたそうなので、展望エリアまで登ってみると……木が茂りすぎていて、景色はかなり遮られていてちょっぴり残念。とはいえ駅前でサクッと立ち寄れる歴史スポットとしてはおすすめです。

湾沿いの遊歩道を行く——平潟湾プロムナード

ここからは駅の南側エリアへ。

平潟湾プロムナード

平潟湾プロムナードは金沢八景駅付近から約1km続く遊歩道で、平潟湾沿いにシーサイドラインの高架下をずっと歩いていけます。湾にはボートやクルーザーがたくさん停泊しているし、ヤシの木も植えられ、雰囲気はちょっとしたリゾート感があります。

このあたりの風景は「ぼっち・ざ・ろっく!」にも何度も登場しているそうで、ファンの方なら「あ、ここだ!」となるかもしれません。

ジャズが流れるレトロ喫茶——オリビエ

オリビエ

プロムナードをのんびり歩くこと約10分、平潟湾に面した場所にある喫茶オリビエに到着です。Googleマップの写真を見て「ここは行きたい!」と思っていたお店。店内はかなり年季が入っていますが、それがまたいい味を出しています。

オリビエのブレンドコーヒー

静かな店内にジャズが流れていて、居心地は抜群。注文したブレンドコーヒーは苦味がしっかり効いた美味しい一杯で、コーヒーと一緒にチョコスティックが付いてきたのもちょっと嬉しいポイントでした。散策の疲れをしっかり癒やせます。ただ、タバコの匂いが結構あるので、苦手な方はそこだけご注意を。

アーチが美しい夕照橋を渡って野島へ

夕照橋

休憩を終えたら、次の目的地・野島公園へ。平潟湾の南端に架かる「夕照橋(ゆうしょうばし)」を渡ります。金沢八景の景勝地のひとつ「野島夕照」にちなんだ名前で、「かながわの橋100選」にも選ばれている橋です。この日はまだ日が高く曇り空でしたが、平潟湾を一望できる大きな橋を渡るのは気持ちのいいもの。名前の通り、夕暮れ時にはさぞ美しい景色が見られることでしょう。

絶景の展望台と歴史が眠る野島公園

野島公園

夕照橋を渡って少し歩くと、野島公園に到着です。平潟湾の入口に浮かぶ野島にある公園で、海抜57mの野島山を中心に展望台やバーベキュー場、野球場などが整備されています。

まずは野島山の展望台を目指しました。距離自体は10分もかからないくらいですが、ずっと上り坂が続くのでなかなかハード。ようやく着いたと思ったら、さらに螺旋階段が待ち構えていました。

野島公園の展望台への道 野島山展望台

しかし、苦労した分だけ展望台からの景色は見事です! 360度どこを見ても開けていて、平潟湾や八景島はもちろん、丹沢の山並みやみなとみらい方面まで見渡せます。あいにくの曇り空で富士山は見えませんでしたが、晴れた日には富士山や房総半島まで望めるそうです。金沢八景の名前の由来となった「八つの景勝」を一望できるスポットとのこと。

野島山展望台からの眺望 野島山展望台

展望台から降りていくと、横浜市内に現存する最古の貝塚である「野島貝塚」や、「かながわの景勝50選」に選ばれた夕映スポットもあります。

野島の夕映の石碑

そして山を降りた先にある野島稲荷神社にも立ち寄りました。1227年の鎌倉時代創建で、京都の伏見稲荷の系統にあたる約800年の歴史を持つ神社です。江戸時代には、徳川家康の十男で紀州藩主の徳川頼宣がすぐ近くに別邸を構えていて、この神社はその別邸の鬼門を守る存在として大切にされていたとのこと。頼宣は中風の持病があり、野島で海水に浸かる塩湯治をしていたそうで、その別邸は「塩風呂御殿」と呼ばれていたそうです。

野島稲荷神社

公園内にはバーベキュー場もあり、海を見ながらのバーベキューは楽しそうです。4月からは予約がかなり埋まるようなので、お花見シーズンからが本番といった感じでしょう。

野島公園のバーベキュー設備

また、横浜市唯一の自然海浜「乙舳海岸」では潮干狩りも楽しめるようです。

乙舳海岸

なお、園内には「旧伊藤博文金沢別邸」もあります。伊藤博文が金沢の地を好んで明治31年に建てた茅葺屋根の別荘で、横浜市の有形文化財に指定されていますが、残念ながら訪問時は改修中で入ることができませんでした。改修が終わったらぜひ訪れてみたいスポットです。

まとめ

金沢八景は、源頼朝・北条政子の鎌倉時代から、徳川家康の江戸時代、伊藤博文の明治と、時代を超えて歴史の舞台になり続けてきた街です。それでいて海あり、山あり、レトロ喫茶と、大人がのんびり歩いて楽しむには最高のエリアでした。ぜひ次の休日は、潮風を感じながら歴史ロマンを巡る金沢八景さんぽに出かけてみてはいかがでしょうか。

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