散歩・街歩き

村岡新駅(仮称)ってどんな場所?東海道線の新駅予定地を散策してみた【2025年8月版】

村岡新駅を散策。2025年8月版
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神奈川県藤沢市と鎌倉市の境目に、新しい駅「村岡新駅(仮称)」が建設されます。
場所は東海道線の藤沢駅から約2km、大船駅から約2.6kmの中間地点。開業は2032年予定で、東海道線に新しい駅ができるのは熱海駅以来、なんと107年ぶりです!

このエリアは1980年代から「駅を作ってほしい」という住民の声がありました。周囲には大きな病院や研究所が集まっていて、毎日多くの人が通勤・通院していますが、最寄り駅までは徒歩20分以上。長年の不便さを解消するために動き出したプロジェクトです。

村岡新駅建設予定地

事業費は約155億円。神奈川県が30%、藤沢市と鎌倉市がそれぞれ27.5%、JR東日本が15%を負担。さらに南北を結ぶ自由通路の整備費(約18.7億円)は藤沢市が単独で負担します。
完成後は1日あたり約6万5千人の利用が見込まれていて、大船や藤沢に集中していた人の流れを分散する役割も期待されています。

村岡新駅の建設予定地

村岡新駅建設予定地

建設予定地に到着すると、まだ更地と工事用の柵ばかりが広がっていました。ここに建設されるのは、地上3階建ての橋上駅舎。ホームは島式1面2線で、駅の南北をつなぐ自由通路も整備されます。駅としての規模や機能がきちんと備わる計画になっているのがわかります。

周辺を歩くと静かな住宅街が続いていて、現在は人通りも少なめ。それだけに「ここが駅前になる」という変化はインパクト大。開業後は周辺の街並みや人の流れが大きく変わりそうです。

村岡新駅の中心施設:湘南iPark

湘南iPark

建設予定地のすぐ近くにあるのが「湘南iPark」。もともと武田薬品の湘南研究所だった場所で、2018年にライフサイエンスパークとして再スタートしました。

今では製薬・医療に加えてAIや大学の研究機関も集まっていて、2025年時点で190社以上・約2,500人がここで働いているそうです。敷地内には実験設備や会議スペースだけでなく、カフェやジムまでそろっていて「ただの研究所」ではない存在感。

最寄り駅までは徒歩20分以上かかるため、現在はバスや車で通勤する人が多いみたいです。村岡新駅が開業すれば、通勤アクセスが一気に改善して、人材や企業の集まり方も変わってきそうです。

数少ない商業施設:TSUTAYA村岡店

TSUTAYA村岡店

iParkのすぐそばにある商業施設が「TSUTAYA村岡店」。1階はドコモショップ、2階がTSUTAYAになっていて、漫画やCD・DVDのレンタルを扱っています。

実際に立ち寄ってみましたが、想像以上にお客さんが多くて驚きました。レンタルショップというと閑散としたイメージを持ちがちですが、ここはまだまだ需要がしっかりある様子。

現状、駅の建設予定地周辺は飲食店や休憩できる場所が少ないので、トイレやお店前の自販機とベンチですら、ちょっとした休憩スポットとして重宝しそうです。

ヘルスイノベーション拠点と「さがみ特区」

村岡新駅の建設は、単に「便利になる駅を作る」だけではありません。この一帯を「ヘルスイノベーション拠点」として整備していく計画があります。

中心になるのは湘南iPark。ここには製薬会社や医療関連の企業、大学の研究室などがすでに集まっていて、最先端の研究が進められています。拠点計画のポイントは、そうした研究で得られた成果を、病院や地域の暮らしにすぐ活かせるようにしていくこと。
「研究する人だけの場所」ではなく、住民が日常的に恩恵を受けられる街にしていくのが狙いです。

さらに、このエリアは神奈川県の「さがみロボット産業特区」にも含まれています。ここでは自動運転バスの導入や、AIを活用したヘルスケアサービスの実証実験が検討されています。
実際に歩いてみると、今はまだ住宅街が広がる静かなエリア。でも「ここで未来の技術が先に試されるのか」と思うと、ただの新駅建設とは違うワクワク感があります。

里のうどん村岡本店

里のうどん 村岡本店

駅予定地周辺には飲食店が少ないのですが、その中でひときわ目立っていたのが「里のうどん村岡本店」。地元では有名なお店で、看板メニューの「バラ丼」は全国丼グランプリで金賞を受賞した実績があるそうです。

里のうどん 冷やしうどん

今回は「冷やしうどん」と「バラ塩ごはん」をセットで注文しました。冷やしうどんは、きゅうりやわかめ、油揚げがのっていて見た目も爽やか。麺にコシがあって、うずら卵を混ぜるとまろやかになり、暑い日にぴったりの一杯でした。

里のうどん バラ塩ごはん

バラ塩は、にんにくと塩胡椒で炒めた豚バラ肉がキャベツの上に豪快に盛られていて迫力満点。シンプルながらご飯がどんどん進む味で、普通盛りでもお腹いっぱいになりました。

駅近くの十二天公園

十二天公園

村岡新駅予定地のすぐそばにあるのが「十二天公園」。
ブランコやすべり台といった定番の遊具に加えて、ボール遊びができるように、柵で覆われた広場もあります。

訪れたときは子どもたちが元気に走り回っていて、住宅街らしい落ち着いた雰囲気の中にもにぎやかさがありました。木陰もあって、近所の人にとってはちょっとした休憩場所にもなっているようです。駅ができれば、ここもさらに利用しやすい公園になると思います。

新・村岡市民センター

新・村岡市民センター

公園のすぐ隣では、「新・村岡市民センター」の建設工事が進んでいました。開業予定は2025年10月14日。駅よりも一足先にオープンします。

現在の市民センターは築60年近くが経過していて老朽化が進んでいましたが、新施設は耐震性やバリアフリーを強化。敷地面積も広がり、体育室や学習室、調理室、音楽室、多目的ホールなどが整備され、防災倉庫も備えられる予定です。

駅前に市民センターがある形になるので、開業後は「地域の交流と防災の拠点」として大きな役割を果たしそうです。

湘南深沢駅と再開発

湘南深沢駅

村岡新駅から徒歩距離で最も近い駅、湘南深沢駅にやってきました。

村岡新駅が建設されるのは藤沢市。
そのすぐ隣、鎌倉市側にあるのが湘南モノレールの「湘南深沢駅」です。両駅は徒歩でおよそ20分ほどの距離にあり、藤沢市と鎌倉市が協力してエリア全体を一体的に開発していこうという大きな構想が進められています。

湘南深沢駅前には、JR鎌倉総合車両センター跡地を含む「深沢地区」が広がっています。面積は約31.1ヘクタール、東京ドーム6〜7個分という規模で、ここを活用して住宅や商業施設、医療・福祉・教育施設、防災拠点、公園などを整備する再開発が計画されています。

深沢地区

その中で注目を集めてきたのが、鎌倉市役所の移転問題です。
現在の市役所は鎌倉駅西口すぐの御成町にあり、立地は便利なものの敷地が狭く老朽化も進んでいます。このため「深沢地区へ全面移転すべきでは」という案が長年議論されてきました。深沢なら広い土地を確保でき、防災機能も持たせやすいというメリットがあります。

ただし全面移転には「市民が通いにくくなる」「中心市街地のにぎわいが損なわれる」といった懸念があり、住民投票や議会で繰り返し否決されてきました。

そうした経緯を踏まえて、2025年7月に示されたのが両輪案です。御成町の現庁舎を残しつつ、深沢に新庁舎を置いて二拠点で行政機能を分担するという折衷的な方針で、市民サービスの利便性と新拠点整備の両立を目指しています。

村岡新駅と深沢地区の再開発は、ただの新駅整備や住宅開発にとどまらず、藤沢市と鎌倉市が共同で湘南に新しい生活拠点を育てる取り組みになっています。その中で鎌倉市役所移転問題も重要なピースとなり、街全体の将来像に関わっているんですね。両輪案も説明段階なので、どうなっていくのか気になります。

まとめ

今回歩いた村岡新駅予定地は、東海道線に107年ぶりに誕生する新駅。
駅舎は橋上駅舎・地上3階建て、ホームは島式1面2線となる予定で、さらに南北を結ぶ自由通路も整備されます。これによって周辺の人の行き来がぐっと便利になるのは間違いありません。

駅のまわりでは、湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南iPark)を核とした研究拠点や、さがみロボット産業特区といった広域的なプロジェクトが進行中。自動運転バスや先端医療の実証など、ただの駅前整備にとどまらない「未来型の街づくり」が始まっています。

さらに藤沢市の村岡新駅と、鎌倉市の深沢地区をつなげる形で、両市が共同で街を開発するという大きな構想も動いています。鎌倉市役所の新拠点構想も含めて、湘南の新しい生活拠点を育てていく取り組みが本格化しています。

今回歩いてみて、静かな住宅地の中に大きな未来像が重なって見えました。2032年の開業まではまだ時間がありますが、今回辿ってきた風景が今後どう姿を変えていくのか、とても楽しみです!

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