静岡県の三島は、熱海と沼津のあいだにある街です。東海道新幹線も停まる三島駅は、伊豆の玄関口として知られています。そしてこの街は、富士山の湧き水があちこちで湧き出す「水の都」でもあるんです。

三島駅

街を歩くと、澄んだ水がすぐそばを流れています。気づけば私も、靴をぐっしょり濡らしながら川の中を歩いていました!訪れたのは9月のシルバーウィーク。真夏のような暑さだったからこそ、水辺をたどる散策が最高に気持ちよかったです!

駅から徒歩すぐの天然記念物「楽寿園」

三島駅の南口を出て、目の前の横断歩道を渡るとすぐ「楽寿園」があります。楽寿園は三島市の市立公園で、明治時代に皇族の小松宮彰仁親王が別邸として造ったのが始まりです。池とそのまわりの森からなる庭園は、国の天然記念物と名勝にも指定されています。入園料は大人300円です。

楽寿園

しっとりした大人向けの庭園を想像していたのですが、園内には小さなメリーゴーランドや動物広場、蒸気機関車まであります。連休中だったこともあり、どこも家族連れでいっぱいでした!ちなみに前日が雨だったせいで、入ってすぐ左手の森は泥がつるつる。私は思いっきり転んでしまったので、雨の翌日に行く方は足元に気をつけてくださいね。

小浜池

園の奥に広がるのが「小浜池」です。富士山の湧き水が、池の底の溶岩の割れ目から湧き出しています。近年は湧き水が減っていて、一年の大半は涸れているそうです。水がたっぷりになるのは夏のあいだくらいで、訪れた日はタイミングがよかったんですね。

澄んだ桜川と文豪の石碑が並ぶ遊歩道

白滝公園から眺める桜川

楽寿園の正門を出て、道路を渡った向かいにあるのが「白滝公園」です。ここも富士山の湧き水が湧く公園で、湧き水が白い滝のように流れていたことが名前の由来と言われています。そばを流れる桜川は、とにかく水が澄んでいて本当にきれい!川では、中学生くらいの男の子たちが川遊びをしていました。この暑さなので、ちょっとうらやましいです。

「三島水辺の文学碑」の遊歩道

公園を出ると、桜川沿いの遊歩道が三嶋大社まで続いています。川沿いには、三島ゆかりの文学者12人の文学碑が並んでいます。太宰治や若山牧水、司馬遼太郎など、知っている名前がいっぱいです!太宰治は昭和9年の夏に、師匠の井伏鱒二とこの川沿いを散歩していたそうです。90年以上前の文豪と同じ道を歩いていると思うと、ちょっとワクワクします。

三嶋大社へ向かうなら、ぜひこの遊歩道を歩いてみてください。Googleマップで「白滝公園」と検索すれば、そこがスタート地点です。

街の名前の由来になった「三嶋大社」

三嶋大社

遊歩道の先にあるのが、伊豆でいちばん格式の高い神社「三嶋大社」です。創建ははっきりしないものの、1300年以上の歴史があると言われています。じつは「三島」という街の名前も、この神社から来ているんです。連休中でしたが、敷地が広いので混雑はそれほど感じませんでした。

三嶋大社は、源頼朝とのつながりが深い神社でもあります。伊豆に流されていた頼朝は、ここで源氏の再興を祈っていました。そして兵を挙げたのは、三嶋大社のお祭りの日。お祭りで警備が手薄になる日を狙ったんだとか!

境内で気になったのが「三嶋さざれ石」です。君が代の歌詞に出てくる「さざれ石」のことで、小石や砂利が2億年以上かけて固まってできた岩なんです。宝物館では刀剣乱舞とのコラボが開かれていて、女性のお客さんで賑わっていました。

川の中を歩ける!名水百選の「源兵衛川」

源兵衛川

三嶋大社からは、鎌倉古道という道を通って源兵衛川へ向かいます。鎌倉古道は、平安時代から戦国時代ごろまで伊豆の主要な道として使われていました。たどり着いた源兵衛川は、楽寿園の小浜池の湧き水を源に流れる、約1.5kmの用水路です。平成の名水百選にも選ばれた、水の都・三島を象徴するスポットです。

じつはこの川、昭和30年代の中ごろから湧き水が減ってしまいました。さらに生活排水やごみも流れ込み、すっかり汚れてしまったそうです。平成に入ると、県の整備に加えて市民や企業、まちづくり団体、行政が力を合わせ、川を再生させました。川の中を歩ける飛び石の道も、この取り組みで生まれたものなんです。

源兵衛川の飛び石

さっそく私も飛び石を渡ってみたのですが、最初の一歩で靴が水に浸かってぐっしょり……!前日の雨の影響もあってか、いつもは顔を出している飛び石が水の中に沈んでいたんです。それでも、水温が一年中15〜16度くらいの湧き水は、暑い日には最高に気持ちいい!地元の人たちが取り戻した川で、旅行者の私まで水遊びを楽しめるのが嬉しかったです。

三島広小路駅と純喫茶「Cafe de Lima」でひと休み

三島広小路駅

源兵衛川から少し歩くと、伊豆箱根鉄道・駿豆線の三島広小路駅があります。駿豆線は三島駅から修善寺まで走る路線です。この駅の始まりは1914年で、昔はここから沼津まで路面電車も走っていたそうです。

歩き疲れたので、近くの純喫茶「Cafe de Lima」でひと休み。階段を上がった2階にあるお店で、内装の雰囲気がとても素敵です。ただタバコの匂いが結構するので、苦手な方は気をつけてください。

Cafe de Lima

暑さでヘトヘトだったので、注文したのはコーヒーフロート。苦味の少ないスッキリしたアイスコーヒーに、冷えたアイスが乗っています。火照った体がすーっと冷えて、生き返りました!

もう一度川の中へ!「時の鐘」から三島梅花藻の里へ

時の鐘

少し歩くと、先ほど飛び石を渡った源兵衛川が、街なかまで流れてきていました。そのそばにある三石神社には「時の鐘」があります。江戸時代、東海道の宿場町だった三島の人たちは、この鐘の音で時刻を知ったそうです。今の鐘は、戦争で一度失われたあと、昭和25年に市民の手で造り直されたものです。

水辺の散歩道

神社の先にある「時の鐘橋」という石橋の下にも、飛び石の通路があります。Googleマップでは「水辺の散歩道」で出てくる道です。見上げると左右は民家で、人の家の軒先を歩いているような不思議な感覚でした。

三島梅花藻の里

この道を歩いた先にあるのが「三島梅花藻の里」です。梅花藻は、冷たくきれいな湧き水を好む水草。三島梅花藻は、1930年に楽寿園の小浜池で見つかったものなんです。正直、ぱっと見はちょっと地味です。でも、街の水がきれいだからこそ育つ水草なんですよね。

日本刀の名品が並ぶ「佐野美術館」

梅花藻の里の正面の横断歩道を渡り、細い脇道へ入ります。その先にあるのが、佐野美術館の日本庭園「隆泉苑」です。ここにも富士山の湧き水が取り入れられています。庭園を抜けた先が、佐野美術館です。

隆泉苑

佐野美術館は、開館当時から刀剣の展覧会を開いてきた、日本刀のコレクションで知られる美術館です。訪れた日は、名古屋の徳川美術館と一緒に開いている展覧会「さのび と とくび 名刀のいろは」が開催中でした。展示には国宝や重要文化財の文字がずらり!ゲームでもおなじみの正宗や村正を、本物で初めて見ることができました。

佐野美術館

館内は若い女性のお客さんでいっぱいでした。ここも、三嶋大社の宝物館と同じく刀剣乱舞とコラボしていたんです。ルーペを使って日本刀を見ている人もいて、なんとなく観光で立ち寄った私とは意気込みが違いました!

締めくくりは駅前「みしまや」の穴子天丼

すっかり夕方になったので、晩ごはんは三島駅前の「みしまや」へ。三島の名物といえば鰻ですが、今回はとんかつ定食と並ぶこのお店の人気メニュー、穴子天丼に惹かれました。お値段は2,300円で、注文する前は正直ちょっといいお値段だなと思っていました。

みしまやの穴子天丼

運ばれてきた丼は、穴子がはみ出すどころか突き出すほどのボリューム!穴子のほかにも具材がたっぷりで、ご飯に箸が届かないほどです。どれも厚みがあって食べ応え抜群で、肉厚の穴子も美味しかったです。汁物とサラダも付いて、これで2,300円ならむしろ安いと感じましたね。

まとめ:湧き水をたどって歩くのが楽しい街、三島

三島は、どこを歩いても富士山の湧き水がすぐそばにある街でした。澄んだ川の中を歩いたり、湧き水の庭園をめぐったり。水辺をたどるだけで、散策がどんどん楽しくなります。

在来線で東京方面へ帰る場合は、熱海駅での乗り換えになります。熱海は三島から電車で2駅、13分ほどです。熱海に一泊するなら、二日目は三島まで足を延ばすのもおすすめです。濡れてもいい靴で出かけてみてくださいね!

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